Vol.317 2020.12.8

音楽・美術の旅 メールニュース
 
Column

短く美味しい秋なのに その3

クレモナは言わずと知れた弦楽器の郷、ストラディバリをはじめとする時代の名工を育んだ創作の都である。町の郊外に悠然と横たわるポー川、その周りに広がる平原こそが湿度の高い環境を与えているのだが、製作者によるとそれが楽器づくりにはあまり適していないというのだから実に面白い。多湿であることがニスの乾きを遅らせるのだそうだ。緻密な手づくり作業をあえて不利な条件下で行ってきた独自の文化というあたりにミステリアスさを感じる。

自分の好みではないところにこの周辺の料理への関心の薄さは否めないが、楽器づくりのような独創性をこの地方の料理にはあまり感じない。包みものパスタ(詰めもの)と言ってもいろいろな種類があって、一般的にはラビオリやトルテッリ、アニョロッティと名称は異なるものの、形状や産地によって呼び名が変わっていく。同じような包まれた小型パスタ(餃子のミニチュワのような感じ)に、マルビーニがありそれがクレモナのご当地パスタである。形状としてはラビオリなどとあまり遜色がなく、これもこの町に伝わる呼び名なのであろう。小さなパスタの中身は牛肉とガーリック入りサラミを合わせたものに粉チーズやナツメグを練り込んで、ビーフベースのブイオンで煮たてたスープ仕立てとなる。ここに暮らす日本人を含む多くの友人に聞くとこの一品やトルタフリッタ(地方によってはニョッコフリットと呼称)というハムやサラミなどを薄く広げたパスタ生地を揚げたものに挟んで食べるものこそ最高だ、と好評極まりないが、わたし自身それらをあまり好まず、パスタならばスパゲッティ系のバリエーションを基準(いわゆるロングパスタ一般)としたものと、そこに適合した多彩なソースとの組み合わせを重んじる(ただ好みなだけ)ので致し方なく、この町の伝統料理にそれはない。クレモナで好物といえば太目で軟らかく歯ごたえはないが肉のフレッシュさがダイレクトに伝わってくるサラミ(ソプレッサ)であろうか。一度食べたら間違いなく病みつきになる。

クレモナよりさらにポー川を下った先にマントヴァはある。この町はヴェルディのオペラ「リゴレット」、場の変更を余儀なくされた後の舞台となっており、それがいかにもオリジナルであるかのように町の景観に収まっているのがおもしろい。ポー川に沿っての生活がある地域は得てして同じような食卓があるものだが、クレモナより65kmほど離れたこの町もやはり似通った料理がおおよその主役となる。アニョーリは豚肉の詰め物パスタ、これもクレモナのマルビーニ同様スープパスタとしていただくもの。カボチャのトルテッリもあり、そしてこの地方特有の一品としてロバ肉の煮込み料理というものがある。

堂満尚樹(音楽ライター)

音楽評論家 加藤浩子と行く バッハへの旅
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オンラインツアーのポイント

加藤浩子氏が、バッハゆかりの地を写真を交えながらご案内!
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さらにバッハと関係の深いドレスデンまで足を延ばします。
ライプツィヒ、ドレスデンでは特別ゲストが登場!

【ライプツィヒ】
ゲヴァントハウス管弦楽団のコントラバス奏者エーバーハルト・シュプレー氏がバッハゆかりの地をご案内(録画)世界的なバッハ学者で、ライプツィヒのバッハ音楽祭の芸術監督を務めるミヒャエル・マウル氏に、ライプツィヒからライブ中継で、音楽祭やバッハ博物館についてお話をいただきます。
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上記オンラインツアーの内容は現時点での予定です。

※現地事情により、変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

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  • 日本郵船が世界に誇る客船の伝統を継ぐ「レディクリスタル(クルーズシップ)」を完全貸切
  • 音楽ツアーデスクが厳選したプロ演奏家(声楽&ピアノ演奏)によるプライベートコンサート
  • ご自宅(東京23区、武蔵野市、三鷹市)から天王洲アイル(船の乗り場:品川区)をハイヤーで往復送迎(その他の地区もお受けいたします。詳細はお問い合わせください)
  • 運航時間は12:00~15:00、船内ではフレンチランチコース、1ドリンク付き
  • ご家族のお祝い(記念日・誕生日等のプライベートパーティ)などに最適
  • GoTo トラベル事業支援対象コースです。 ※往復ハイヤーをご利用の場合のみ対象

旅行説明会

今後の説明会実施の有無につきましては、音楽・美術の旅ツアーデスクまでお問い合わせください。

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